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武庫川女子大学の実践学習プログラムとして、6人の学生さんが森の木ファームの取材をして記事を書いてくれました!
福祉を勉強したことのない学生さんたちの目に、森の木ファームはどう映ったのか??
6人6様のコラムを紹介させていただきます。
(第1弾/全6本)
【テキスト:浅川 夏帆】
こんにちは!!
皆さんは福祉施設にどのようなイメージがありますか?
閉鎖的もしくは、堅い、など、深く知らないからこそ近寄りがたいものだとお思いの方は多いかもしれません。
本記事ではそんなイメージを吹き飛ばすような森の木ファーム株式会社さんの 森の木base を訪問し、
支援員さんに自立訓練・就労移行支援についてのお話を伺いました!
本記事は、自立支援・就労支援の
・環境づくりのヒミツ
・声かけの工夫
・支援プログラム
・就職までの流れ
・まとめ
といった順序でご紹介いたします!
<インタビュー紹介>
あさかわ
武庫川女子大学で経営学を学んでいます。今回は実践学習としてインタビューをすることになりました。
管理者の高橋さん
保育士免許を持ち、ウクレレワークショップなど音楽療法プログラムを主に担当されています。
利用者の方にまず元気になってもらえるような支援を心掛けているそうです!
インタビューの前に自立訓練、就労移行支援について少し説明させていただきます!
<インタビュー>
―施設を見ていて利用者さんが安心して過ごしているように感じました。安心できる環境づくりの工夫を教えてください。
施設にいる支援員の応対がいつも変わらないことを大切にしています。
支援員間が密に連絡を取って、例えば利用者さんとの会話の中で出てきた、最近興味があることや悩みなど、ちょっとしたトピックスも共有します。
そうすることで、どの支援員と話しても対応が一定で、利用者さんに安心感を感じていただけるように心がけています。
他にも家庭的な雰囲気を作り出すことを大切にしていますね。
言葉遣いは敬語が基本ですが、まるでお家のように、利用者さんがリラックスして過ごせるような場所になるよう、心がけて接しています。
あと、リスペクトし合っている職員同士の関係性を利用者さんはよく見ており、仲たがいしてそうだとか関係性が悪そうだなというのはすぐに伝わってしまうんです。
変わらない姿勢と暖かい環境づくりで安心していただけるように意識しています。
森の木baseの一室の様子。丸テーブルは人との距離が近くなって、会話が自然としやすくなるそう。
―どのような声掛けをしているか、お聞かせください。
利用者さんとの距離を縮めたいときは、わざとその利用者さんが座っていた椅子にじっと座ってみたりしますね。笑
すると最初は無口だった人が、「すみません、代わってください。」と話してくれたり。
最近、他の利用者さんは「隣が空いているので僕はここに座ります。」とおっしゃられるようになったりと、変化が出てくるんですよ!
―すごいですね!!
そうなんです!なんというか、普段のお声かけに、ちょっとした遊び心を持つというのも大事だと思っているんです。
世の中には色んな価値観を持つ方がいらっしゃいます。
社会に出たらこんな人もいるだろうな、と想像しながらその人の真似をしてみたり、利用者さんに話しかけたりしています。
だから、時にはあえて困ってしまう状況を作ったりとかもしています。
―なるほど。ではやはり利用者さんがこの施設を卒業した後のことを考えてプログラムを作成されることもあるのでしょうか。
そうですね!はい。
成人式に参加できなかった利用者さんの保護者の方が残念がっていたことを受けて、施設内で成人式プログラムが作成されたこともあるそう。声を形にするプログラムにはどんな秘密があるのでしょうか。
―自立支援、就労移行支援どちらもプログラムを支援員の方が手づくりされていると伺いました。プログラムを作成するときに心がけていることなどはありますでしょうか。
具体的なプログラムは支援員が考えています!
日々の利用者さんとの会話や利用者さんを観察する中で、「今こんなことに困っていそうだ」とか「こんなことが知りたいだろうな」と支援員が感じたことを挙げて、プログラムに落とし込むようにしています。
例えば車に乗るときのマナーなんかもプログラムに組み込んだりしますし、安心して過ごしすぎて家と施設の境目が曖昧になってきている方には、施設は家と違うことを教えるためのプログラムを入れたりなんかして。「ここ家ちゃうで。」みたいな(笑)
―とても特徴的なプログラムですね!
そうですね。
お家のように安心感を持って過ごしてほしいのですが、施設はお家とは違うんだよ、という境界線はやはり必要ですので。
例えばこれは生活マナーに当てはまりますが、トイレに入るときスリッパをそのままバン!と投げ捨ててトイレに入って行っちゃったりして。
これは公共の場ではNGな行動だ!ということを認識していただくために、”それってどうなん?”という札を作って、支援員があえて悪い手本を見せてみて、利用者さんにジャッジしていただきました。
支援員が悪い見本を見せると言うようなこともあえて行っていますね。
車に乗るときのマナーを知るプログラムでは、車に乗っているような環境を作って、乗り込むところからシミュレーションをします。
シチュエーションを作り込むことで、利用者さんが想像しやすくなります。
プログラムは、各支援員が楽しく創造を膨らませながら実施しているので、毎回少しずつ違います。
なので、他の施設には真似できないくらいのクオリティだと自負しています!笑
―やはり座学での学習と効果は違うのでしょうか。
全然違いますね。
実際このような指導を行ってからトイレに行くときもスリッパをきちんとそろえるようになったり、車に乗るときのマナーとかもよくなったりということが身に付いてきますね。
座学の勉強だけでは身に付かないことが、動いて実際に見せるので利用者さんも理解しやすいようです。
以前、動画も作成しました!
―学習のための動画ですか?
そうです!
ドアをノックしないでトイレに入ったら支援員がいるとか。
そういうのも学びの一環として作成しています。
自立訓練では洗顔方法を学ぶプログラムもあり、生活の基本を改めて学ぶことができます!私も何となく洗っているだけだから受けたいと感じます…!
森の木ファーム株式会社の就労移行支援では就職まで
これら3つのステップを踏んで就職へと進んでいきます。
―職場とのマッチング力の秘密について教えてください。
利用者さんの見極め力ですね。支援の現場ではアセスメントと表現します。
作業をしながらでも利用者さん一人ひとりの得意、不得意を見極めて、もし不得意なところがあったとしてもカバーしてもらえそうな相性の良い職場を開拓していきます。
それは”秘伝”というか、秘密なところもあったり(笑)
実際、プログラム内での利用者さんの様子だけで判断せず、日々の生活の様子からも、見極めることが必要になります。
例えば、作業をしている時の態度だったり、支援員や他の利用者さんとの受け答えの仕方など。ちょっとしたことから、その利用者さんの得意不得意を評価し、どのような環境であれば得意を生かせ不得意に直面せずに済みそうかを考えます。
そのため、支援員には地元の仕事事情に精通していることも必要とされますね。
また、マッチング先候補の企業での働き方に対する知識や、その企業でこんな働き方ならできそう!といった想像力も大切です。
支援員自身のマナーについても気を付けています。
施設に入ってこられた方にみんなであいさつをしたり見送ったり。
特に言葉遣いに注意しています!
いかがでしたでしょうか。
今回のインタビューで利用者さんの未来のために支援員の方がどのように工夫をされているかが見えてきました!
これら3つが利用者さんにとっては大きな安心要素となっていて、
支援員さん同士が常に良い関係を保つことが大切だという意識が伺えます!
さらに、プログラム作成においては、利用者さんの実生活に関する内容が組み込まれており座学だけではない学びを実現させています。
自立するにも就労するにもまずは心の安定が必要であり、支援員さんが利用者さんに寄り添うということを重視されているところが素敵だとインタビューを行って感じました。
人間の力というものは支援において必要不可欠です。
人間が寄り添うことで細かな変化にも気づくことができるからこその暖かい雰囲気に包まれていました!
また、施設内はほとんどの部屋に太陽の光が差し込むようになっているデザインであることも利用者さんの気分を明るくさせるような工夫を感じ、素敵だと思いました。
ご一読いただき、ありがとうございました!
取材の帰りにおみやげとして森の木ファーム株式会社さんで販売している椎茸をいただきました!後日チーズと味噌マヨネーズと一緒にいただきました!!!